イソトレチノイン (アクネトレント)

イソトレチノインは、ビタミンA由来の経口薬で、重症にきびや他の治療で効果が得られなかった方に推奨される治療法です。皮脂の分泌を抑制し、炎症を抑え、肌のターンオーバーを促進することで、にきびを根本的に治療します。
内服終了後も長期的なにきび改善効果と再発予防効果が得られる、にきび治療の最後の切り札とも言える治療です。

当院のイソトレチノイン治療では、アクネトレントを採用しております。

1. 皮脂の抑制

イソトレチノインは皮脂腺を縮小し、過剰な皮脂の分泌を抑えることでにきびの発生を防ぎます。ただし、服用中は乾燥が副作用として現れるため、保湿が重要です。服薬中は乾燥感が続きますが、内服開始から１か月以降は皮膚が落ち着くことで乾燥感が軽減することが多いです。

2. ターンオーバーの促進

イソトレチノインは皮膚のターンオーバーを促進し、細胞の新陳代謝を活性化します。治療初期の1ヶ月ほどは皮むけや一時的なにきびの増加が見られることがありますが、徐々に皮膚が順応し、新しいにきびが減少します。

3. 抗炎症作用・抗酸化作用

皮脂が酸化すると、皮膚にダメージを与え、炎症や赤みの原因となります。イソトレチノインは皮脂の酸化を抑制し、にきびの炎症や赤みを軽減します。また、角栓の酸化を防ぎ、にきびや毛穴詰まりの改善に寄与します。これにより肌トラブルを予防し、全体的な肌質を向上させます。

治療開始前

医師による問診で適応を確認し、血液検査を行います。一般的に6ヶ月を1クールとして治療を行います。

最初の数日間

効果が現れるまで1週間程度かかるため、最初は大きな変化を感じない場合があります。

最初の30日間

皮脂分泌の抑制により乾燥が始まり、唇や肌の皮むけが目立つことがあります。また、ターンオーバーの促進で一時的ににきびや角栓が増える場合もありますが、薬が効いている証拠です。乾燥対策と紫外線ケアを徹底してください。

30〜60日目

皮膚がターンオーバーに順応し始め、にきびが減少します。副作用も徐々に軽減しますが、新しいにきびがまだできる場合は用量調整を行うことがあります。

60日目以降

安定期に入ります。「新しいにきびができない状態」を目指します。

180日目

治療効果を確認し、治療を終了します。多くの場合、にきびの大幅な改善が見られます。

多くの場合、内服後はにきびができにくい肌になり、再発しないことが一般的です。治療終了後3ヶ月ほど経過を観察し、にきびが再発しなければ治療終了となります。
再発した場合には、3ヶ月の休薬期間をおいて、2クール目の治療を行う場合があります。2クール目以降の効果は、1クール目のイソトレチノインの効果に上乗せされるため、更なる効果が期待できます。